国立研究開発法人 情報通信研究機構 時空標準研究室

NICT 公開NTP クライアントコンテスト

(2006年12月15日更新)

国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT。理事長:長尾真)は、 インターネット時刻供給サービス(NICT公開NTPサービス)を用いて、 日本標準時との時計合わせの促進と、優れた時計合わせクライアントを発掘するために、 『NICT公開NTPクライアントコンテスト』を開催し、厳正なる審査の結果、授賞作品を決定しました。

 『NICT公開NTPクライアントコンテスト』は、6月12日から10月20日にかけて、 (A)精度部門、(B)付加機能部門、(C)アイデア部門の3つの部門に分けて、 それぞれ作品を募集し、厳正なる審査の結果、応募総数16件の中から、最優秀賞と優秀賞の合わせて4件を決定しました。 審査では、各界を代表する識者の方々と、一般投票(来訪者数 5696名、投票総数 283票)による結果と併せて審査しました。

授賞作品

(A)精度部門

最優秀賞: 山田雄介(シャープ(株))「NtpClient」 (自己アピール)
(授賞理由)
本作品は、時計の歩度と時刻の推定範囲を緩和的に追い込む手法を提案し ている。インターネットを越えて、しかも、ADSL回線からの利用でも±0.5 ミリ秒以内で日本標準時と同期している点は秀逸である。他の応募作に比 べて精度が高く、特に標準偏差は桁違いに小さい。
(誤差の平均: -0.102ms、標準偏差: 0.203ms、OS: マイクロソフト社 Windows)
(誤差の平均: -0.055ms、標準偏差: 0.142ms、OS: Linux)

優秀賞:  鈴木一也「太助時計」 (自己アピール)
(授賞理由)
本作品の同期アルゴリズムは開示されてはいないが、初期特性および誤差 の変動を見ると、歩度を推定しない比較的シンプルな手法を用いている と思われる。それでも、誤差の平均は NtpClient に匹敵する精度を有している。 しかし、標準偏差が大きいため次点とする。
(誤差の平均: 0.182ms、標準偏差: 6.773ms、OS: マイクロソフト社 Windows)

(B)付加機能部門

最優秀賞: (有)イケハウス 江口亨「ピッタリでチュ!」 (自己アピール)
(授賞理由)
本作品は、パソコンの時計合わせとしては十分な機能を有しており、 ドキュメント類を含めてソフトウェア的にも完成度が高い。 一般投票でも、飛び抜けて得票が多かった。

優秀賞:  岡崎篤也、横堀雅之「NTP Clock『時缶(トキカン)』」 (自己アピール )
(授賞理由)
本作品は、今回唯一のハードウェアによる応募で、 PIC(周辺機器接続制御用ICチップ)に実装しており、 ネットワークと電源をつなぐだけで正確な時計になる。 デザイン的にも優れ、存在そのものが面白いが、 更に小型化し工夫すれば、応用が広がると思われる。

(C)アイデア部門

残念ながら授賞にふさわしい作品がありませんでしたので、該当なしとします。

(敬称略)

総評

今回は、時計合わせに意識を集中した技術的に優れた作品が多く、応用面やアイデア部門への応募が少なかったようであるが、 授賞作以外にも、目を止める作品があったので、今後に期待する。 より正確な時を求めるニーズが高まっているが、 応募作品からは多くのシステムが思いのほか不安定な時刻に依存してきたことも伺えた。 応募作を通じて、NICTの使命の大きさを知ることにもなった。

<審査委員>

中村 正三郎 (プログラマ兼ソフトウェア評論家)
中山 雅哉 (東京大学)
山根 一眞 (ノンフィクション作家)
大森 慎吾 (NICT)

(敬称略、順不同)

審査風景



審査方法, 募集要項,

<本コンテストに関する問い合わせ先>
時空標準研究室
町澤朗彦
Tel: 042-327-5763、Fax: 042-327-5809
E-mail: 
ntpcontest@nict.go.jp