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研究業務内容・標準時

日本標準時グループの業務紹介

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日本標準時をつくる

■原子時計

セシウム原子時計
(写真左)水素メーザ
(写真右)セシウム原子時計

 日本標準時は、前ページに示す国際的に定義された「秒の定義」にしたがって、長期間(5日以上)の周波数安定度に優れたセシウム原子時計18台と短期間(5日以内)の周波数安定度に優れた水素メーザ4台から作られています。
 しかし、1台1台の時計自体は、温度や地球磁場等の周辺環境で周波数(1秒間の振動数)が変化します。
 この周波数の変化の影響を避けるため、当グループの原子時計は温湿度管理、電磁界シールドを施した原器室と呼ばれる特別な部屋に設置されています。さらに、個々の原子時計には無停電電源装置が接続され、停電時には発電機で電力を供給する体制が整っています。

■日本標準時の生成
 4つの原器室内に設置してあるセシウム原子時計と水素メーザは、計測システムによって相互の時刻差が毎秒計測されています。この時刻差データをもとに、原子時計の時刻を1時間に1回、平均・合成(周波数制御)することによって、協定世界時UTC(NICT)が生成されています。
 日本標準時は、当グループが生成する協定世界時UTC(NICT)を9時間(東経135度分の時差)進めた時刻です。
 この一連の日本標準時生成過程は、コンピュータによる制御によって、すべて自動的に行われます。また、現用・予備用の複数系統で時刻の生成を行っており、機器の故障などで日本標準時が途切れることはありません。
時刻発生までの流れ

■用語説明
TAI (International Atomic Time)
  国際原子時
  国際度量衡局(BIPM)が決定します
UTC (Coordinated Universal Time)
  協定世界時
  国際度量衡局が決定します
UTC(NICT)
  情報通信研究機構(NICT)が決定する協定世界時です
JST(Japan Standard Time)
  日本標準時
  上記UTC(NICT)を9時間進めた時刻です

■分散化
  これまで、日本標準時は東京都小金井市のNICT本部のみにおいて生成されてきました。しかし、災害などにより本部機能に問題が発生すると、日本標準 時が停止する恐れがあるため、分散化技術の研究・ 開発を進め、信頼性の向上に努めています。そのひとつとして、2018年6月10日に神戸市に副局を設け運用を開始しました。神戸副局は、セシウ ム原子時計や高精度衛星時刻比較システムなど日本標準時生成に必要な基本機能を備え、本部と並行して標準時に準じた時間を生成し、非常時にはNICT本 部の代替局として機能する予定です。今後、分散化技術がさらに開発されることで、標準電波送信所等の遠隔地にある原子時計のデータも 利用して日本標準時を生成できるようになり、より一層の精度の向上が期待されます。

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