標準時・周波数標準のQ&A
うるう秒に関するQ&A
2017年1月実施版
- A
今から、約50年前までは、時間や時刻は、地球の公転・自転に基づく天文時が使われていましたが、科学の進歩に応じた高精度な時刻が必要になり、現在使われている時刻は、原子時計をもとに決められています。規則正しい原子時計と地球の自転に基づく時刻の差が±0.9秒以内になるように、原子時計の時刻に1秒だけ調整を行った時刻を協定世界時(UTC)と呼び、現在、この時刻が世界の標準時として一般に使われています。この1秒の調整が「うるう秒」です。地球の自転速度は、不規則で、いつ、うるう秒調整が実施されるかについては、長期の予測ができません。したがって、地球の自転を正確に観測し、監視しながら必要に応じて調整されています。
なお、1958年から刻んでいる国際原子時(TAI)と、UTCとは、現在-37秒差になっています。これは、1958年からの地球の自転が37秒(積算値)遅くなってきたことを意味します。
うるう秒実施日一覧のページ
https://jjy.nict.go.jp/QandA/data/leapsec.html
- Q うるう秒を挿入する日本標準時(JST)はどのような時刻でしょうか?
- A
協定世界時(UTC)を9時間だけ進めた時刻。NICTは、この日本標準時(JST:Japan Standard Time)を協定世界時(UTC)と比べて± 10ナノ秒(1億分の1秒)の精度を目標として18台の原子時計を利用し維持管理しています。
- Q うるう秒をお知らせする標準電波についておしえてください。
また、うるう秒はどのような形で標準電波に挿入されるのでしょうか?
- A
標準電波(コールサイン:JJY)は、時間と周波数の標準、並びに協定世界時(UTC)に基づく日本標準時(JST)を広く国の内外にお知らせするために、情報通信研究機構で運用している電波です。
送信する時間、周波数の標準と標準時の信号は、当機構の維持する国家標準により常に高い精度に保たれています。
標準電波は電波時計の基準信号として広く活用されております。詳細は「標準電波の出し方について」をご覧ください。
2017年1月1日のうるう秒の対応は具体的に次のようになります。
2016年12月2日9時(日本時間)より、タイムコード中のうるう秒情報ビットLS1、LS2がともに2進の"1"となります。この情報は2017年1月1日9時に解除(ともに2進の"0"となります)されるまで続きます。
うるう秒の挿入は、ポジションマーカP0が通常59秒の立ち上がりに対応するところ、60秒の立ち上がりに対応します。この時、59秒は2進の"0"となります。
- Q うるう秒をお知らせするテレホンJJYはどのような時刻サービスでしょうか?うるう秒はテレホンJJYではどのように対応されるのでしょうか?
- A
NICTが実施しているアナログ電話回線を利用して時刻情報データを高精度に提供するサービスです。1995年からNICT(当時CRL)がサービスを開始し、現在NHK、民放の放送局等の業務時計の時刻合わせに利用されています。詳細は「電話回線による標準時提供」のページをご覧ください。
2017年1月1日のうるう秒の対応は具体的に次のようになります。
2016年12月1日9時過ぎ(日本時間)の作業終了後より、LEAPSECコマンドの応答でうるう秒実施情報("+1"が返されます)が得られます。この情報は2017年1月1日9時に解除(" 0"となります)されるまで続きます。
- Q うるう秒をお知らせするネットワ−クによる時刻情報提供サービス(NTPサ−ビス)はどのようなサービスでしょうか?うるう秒はNTPサービスでは、どのように対応されるのでしょうか?
- A
ネットワーク接続された計算機やIT端末の時刻合わせに利用できるように、NTP(Network Time Protocol)を利用したNICTが実施している時刻情報提供サービスです。現在、インターネット利用者等の時刻合わせを実施しているNTPサービス事業者向けに、専用回線を用いたNTPサービスを2005年2月から実施しています。詳細は「ネットワークによる時刻情報提供サービス」のページをご覧ください。
さらに2006年6月からインターネットへの公開NTPサービスを実施しています。詳細は「インターネットによる時刻情報提供サービス(公開NTP)」のページをご覧下さい。
NTPの取り扱う時刻は1900年1月1日を起点とした時系ですが、過去のうるう秒を積算していません。うるう秒実施時のNTPプロトコル上の対応は、
https://www.eecis.udel.edu/~mills/leap.html
をご覧ください。
2017年1月1日のうるう秒の対応は具体的に次のようになります。
うるう秒実施予告情報としてNTPパケットの中のLIビット(Leap Indicator)が前日(2016年12月31日)より"01"となります(*)。この情報はうるう秒実施時の2017年1月1日9時(日本時間)に解除されます。- (*)現在のNTPに関するRFC(Request for Comments)ではうるう秒は当月最後となっているので12月1日からLIビットとを立てることができますが、古いRFCでは当日(12月31日)となっていたため、それに準拠したソフトウェアでも問題なく動作させるためNICTでは12月31日にLIビットを立てます。
- (*)現在のNTPに関するRFC(Request for Comments)ではうるう秒は当月最後となっているので12月1日からLIビットとを立てることができますが、古いRFCでは当日(12月31日)となっていたため、それに準拠したソフトウェアでも問題なく動作させるためNICTでは12月31日にLIビットを立てます。
- Q うるう秒調整を行った時刻である協定世界時(UTC)とはどのような時刻でしょうか?
- A
私たちの日常生活は太陽の動きと深くかかわっています。そのため、日常的に使われている時系は、地球の運行に基づく天文時系である世界時(UT1)に準拠するように調整された原子時系です。これを協定世界時(UTC)と呼びます。地球の自転速度は、潮汐摩擦などの影響によって変化するため、世界時(UT1)と協定世界時(UTC)との間には差が生じます。そこで、協定世界時(UTC)に1 秒を挿入あるいは削除して、世界時(UT1) との差が0.9 秒以上にならないように調整しています。
- Q 国際原子時(TAI)とはどのような時刻でしょうか
- A
1958年から、世界中の原子時計をもとに決められている時系です。現在、世界各国にある400台以上の原子時計の平均として決定されています。
- Q うるう秒は、正確な原子時の協定世界時(UTC)と地球回転による世界時(UT1)のずれを調整するためですが、この世界時とはどのような時刻でしょうか?
- A
地球の自転に基づく時系で、世界時(UT1)と呼ばれます。最近は、宇宙の果てにある天体からの電波を利用したVLBIと呼ばれる高精度計測技術などにより、この世界時を高精度に決めています。NICTは、日本で最初にVLBI本格観測を実施するなど、関連技術の研究開発も行っています。
(参考)国際原子時(TAI)、協定世界時(UTC)、天文時(世界時UT1)、うるう秒の関係
(参考)標準時・周波数標準のQ&A
../FAQ/time_qa.html